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精読の重要性


精読は、推測や勘に頼らず、英語を、英語の構造、レトリックそのままに正確に理解する力を培うために行います。これはブロークン英語で満足しない限り、読解にとどまらず、英語を聴く、話す、書くための大前提になる力です。ですから、英語の学習のごく初期、はじめてセンテンスを扱う時から精読は始まります。例えば、一般的日本人なら、中学1年のテキストでスタートしているはずです。

「はず」と言ったのは、実情を見ると、このレベルからすでに、精読はおろそかにされているからです。私は実際の指導経験から、高校生で中学2年の英語テキストを自力では正確に読めない学生が大半を占めるということがわかりました。

昨今、同時通訳式読解法やらパラグラフ・リーディングやらとさまざまな速読法が喧伝されていますが、基礎的な精読ができない学習者がいきなりこうした方法に飛びついても、にわかに英文が正確に速く読めるようになるとは考えられません。速読はゆっくりとでも精読ができるようになった人が自然にその読みのスピードを上げることによって獲得できる読み方だからです。一文ずつ時間をかけても、正確に読み取れない人が、大量の英文になるとすいすいと読みこなせるということは起こり得ません。精読か速読かという議論も本来、無意味だと思います。外国語である英語を初心者がはじめから速読できるはずはなく、わずかな英文でも、まずは構文・文法を意識しながら、わからない単語は辞書で調べながら丁寧に理解するところから始まるからです。やがて、構文・文法が頭で考えなくても、瞬時に感覚的に分析できるようなり、語彙も増えて英文中の未知の単語が少なった時、はじめて速読へ移行できるのです。

確かに、速読・多読は高度な英語力をつけるためには必須です。しかし、そのスタートはゆっくりであろうと、英文を正確に理解することであるのを忘れないで下さい。大学受験で質の良い勉強をしている学生や一般の学習者の中には、しっかりとした精読をしていて、高い読解力を持っている人が少なくありません。しかし、残念ながら、その段階では彼等の多くは大量の英文をスピーディーに読みこなすことはできず、もちろん、会話もできません。しかし、これは読解力があるために英語の実用能力を伸ばすことが阻害されているわけではありません。単に、優れた読解力を、速読をはじめとする実用能力に変換するためのトレーニングが欠けているだけなのです。

正確な読解能力は高い英語力の前提です。私は、指導者としての経験から、その人の読解力でどのあたりまで英語力が伸びていくかが大体予想がつくようになりました。この点で大学受験の勉強をしっかりとやり英語が得意科目だった人は、精読の基礎ができているものです。同時にある程度の語彙力が備わっていると、新しことを学ばなくとも、知識を活性化するトレーニングをするだけでTOEICの800点台に到達できるでしょう。さまざまな批判のある受験英語ですが、付け焼刃ではない腰を据えた勉強をした人には確実な基礎を身につける機会となるのです。


 

 

精読と速読の融合=精速読


受験勉強の英文解釈などで精読を行うこと自体には全く問題はありません。それどころか、外国語としての英語を学習する際の、正攻法の方法であり、通るべきステップです。しかし、精読の効用が疑われ、軽視されることがあるとすると、その原因はどこにあるのでしょうか?それは、精読をしっかりやった人が、残念ながら次のステップに進み、複数のトレーニングを組み合わせ、精読の持つ効果を総合的な英語力のアップに生かせないことだと思います。

例えば、適正なウェート・トレーニングは、あらゆるスポーツにおいて有効です。しかし、目的とするスポーツに合ったウェート・トレーニングを行わなかったり、そのスポーツの練習を行わずウェートトレーニングだけをしていれば、パーフォーマンスが向上しないのは当然です。だからと言って、ウェート・トレーニング自体が有害であったり、無用のものというわけには行かないでしょう。基礎体力や筋力は運動をする上での前提になるからです。精読を軽視する思考には似たようなトレーニングプランの欠如、思い違いがあるように思えます。

精読と隣接するトレーニングが速読・多読ですが、精読を熱心にやりながら速読への移行がうまくいかない学習者が多いものです。精読をある程度やり正確な読解の基礎を身につけたら、速読・多読へ移るか、並行して行うのが、実用に足るリーディング能力を培う方法です。

こうした学習を続けていると、ある時点で精読と速読が融合し、速く楽に且つ正確に英文を読む、言わば精速読ができるようになります。この精速読こそが学習者が一日も早く獲得したい能力なのです。精速読ができるようになると、英語の本、雑誌、新聞などを読むことはもはや学習・トレーニングではなく楽しみになります。それでいながら、読めば読むほど雪だるま式に英語力はついていきます。また、日本語の本を読むときのように、全体をスピーディーに読んでいきながら、重要な個所や難解な部分だけを必要に応じて速度を緩め丁寧に読むというように緩急自在になります。しばらくすると、じっくり読む必要がないものは流し読みをして、必要な情報だけを掬い上げるスキミングも自在にできるようになります。私が受験した'97年7月のTOEICは、161番以降の問題にまとまった英文が非常に少なく、ほとんどスキミングで答を出していきました。TOEFLしか知らなかった私は、いつしっかりした長文が出てくるのかと思いながら片っ端からスキミングで解いていったのですが、いつの間にか最後の問題が終わっていました。その時点では40分近くテスト時間が余っていた記憶があります。

私のところに学習法の相談に来た初心者レベルの人に、いきなり、スキミングの方法を教えるよう頼まれて驚いたことがあります。TOEIC対策本で、TOEICのリーディング問題には、スキミングが有効だと知ったそうです。残念ながら、速読もスキミングも、それだけを個別に習得することはできません。そうした、技術は正確な読解を土台としており、あくまでもその延長線上にあるもの、派生的なものだからです。

 

 

旧式の精読法


さて、効率的な精読トレーニングを紹介する前に、比較のために旧式の精読法の実例を挙げておきましょう。私自身が大受験時代に行った英文解釈の方法です。旧式と言いましたが、現在でも真摯な学習をする受験生が同様の方法で英文に取り組んでいるかもしれませんし、本質的に問題のある方法ではありません。旧式と呼ぶのはのはあくまでも比較の問題からです。

高校3年の時、私は大学受験雑誌の中で、興味深い合格体験記に出くわしました。それは、苦手な英語を克服し、大学に合格した関西在住の受験生によるものでした。その受験生は、英語が苦手で偏差値は40台、これでは合格はおぼつかないと一念発起して、旺文社の「英文標準問題精講」に取り組むことを決意、一夏で汗にまみれながらやり遂げ、偏差値を70台に引き上げ、見事志望校の同志社大学に合格したということでした。

私はいたく刺激を受け、まったく同じことを実行してみることにしました。当時、劇画「明日のジョー」の力石徹のストイックな減量シーンに刺激され、ボクサーでもないのに減量を真似る連中がいましたが、似たようなノリでした。早速、本屋で「英文標準問題精講」を購入し、英文解釈に取り組み始めたのです。季節は体験記とは異なり冬でしたが、その他の点では、できるだけ同じ方法を踏襲しました。一つの長文(といっても200語程度のものが大半ですが)を自力で、辞書を引き、文構造を分析しながら、数時間かけて舐めるように読み解いてき、全訳を書き出すのです。その上ではじめて訳を見て、解説を参考にしながら読み違いを正し、理解・納得していくのです。この作業にまた同じくらいの時間を要しました。こうやって精緻に読み解いていくと、200〜300語程度の英文を一つ仕上げるのに最初は4〜5時間くらいかかっていました。それがまた、体験記通りだわい、と奇妙な充実感を与えてくれました。こんな方法で学習を続けて行ったのですが、完成するのは体験記を上回り、3〜4ヶ月かかってしまいました。しかし、私としてはほぼ体験記通りにプロジェクトを完了し満足感を味わったものです。そして、私が得た恩恵も体験記通りのものでした。高校三年の11月頃に受けた大手予備校主催の模擬試験の、英語の偏差値は40台でしたが、翌年夏に実施された、その年度最初の模擬試験の偏差値は、70を大きく上回っていたのです。

私にとってこの精読トレーニングは絶大な効果をもたらしてくれました。このわずか数ヶ月の期間に精読の基礎が完成したからです。実のところ、これ以降、私は精読の学習は一切やっていません。読みに関しては、速読・多読に移り、好きなものを好きなように読んでいっただけです。

ただ、この方法がすべての人に私にもたらした成功を約束するものとはいえません。まず環境面。当時の私にはふんだんに時間があったこと。私は高校3年の12月にこの学習に乗り出したのですが、年が明けてからは自由登校になりほとんど学校に通う必要が無く、浪人生となってからは、起きている時間すべてを使えるお気楽な身分だったのです。忙しい社会人の方などには、望むべくも無い環境でしょう。次に、なにがなんでも自力で読み解こうとするのは志はいいのですが、時間的にも、エネルギー的にもかかる負担が大きすぎます。また、教材の選択の問題があります。私が使った、「英文標準問題精講」は英文学作品や評論、エッセーなどを抜粋したものですが、使われている英文はいかにも難解なものが多いのです。私はこのタイプの文が必ずしも嫌いではなくなんとか完成しましたが、すべての学習者にお薦めするものではありません。

現在では、はるかに効率的で負担の軽い精読トレーニングを用いることにしており、生徒の指導にも、自分の第2外国語であるフランス語の学習にも大きな効果を上げています。それでは、次に「効率的精読トレーニングの手順」を紹介します。

 

 

効率的精読トレーニングの手順

1
短時間で自分なり英文を分析意味取りする。

が実践したような旧来の精読では、どんなに難しい英文であろうと、自力で読み解こうと、辞書と首っ引きで、場合によっては数時間でも粘ったものです。しかし、現在私がお薦めするのは、この作業を比較的淡白に済ませることです。ある程度自分なりに文構造の分析をして、英文の趣旨、意味取りをやってそれで終わりです。旧来の精読法で数時間かけていた作業を、10分から20分程度で切り上げてしまいます。それから2. のステップに移ります。

2
説明、解説の力を借りて理解する

自分なりの読解でおぼろなりとも英文を理解したら、あまり粘らず、指導者の説明を聴くか、テキストの解説、日本語訳を参考にして正確に英文を理解します。文の構造、各単語の意味、使われ方、英文の趣旨を完全に理解してください。知らない単語の意味を調べるために辞書を引くのは主にこのステップにおいてでいいでしょう。英文の構造・意味が判然としない段階で辞書を引くと、各単語にさまざまな品詞、意味がありどれが適切な語義かさっぱりわからないことがあるからです。適当な意味を選んで切り貼り細工していくと、多くの受験生が解答用紙上に披瀝してくれるあの前衛詩のような意味不明の日本文が出来上がります。また、この時に単語リストを作成してボキャビルを行うと、使用されている単語を取りこぼし無く覚えることができます。

3
トレース読み

精読の仕上げは「トレース読み」です。これは trace から名づけた方法で、指導者の説明やテキストの解説で理解した文を、少し時間的間隔を開けて、同じように分析、理解して読んでみる復習法です。説明を聴いたり、読んだりして理解した英文は、その時理解したつもりでも、それっきり放置しておくと、しばらくたって読んでみると、さっぱりわからなくなってしまっていることがよくあります。自力で読解したものではないからです。

訪れたことがない場所に、人に案内されて、あるいは車なら助手席に乗って行った場合、その時は道順を覚えたつもりでも、しばらくして、自分ひとりでそこへ行ってみようとすると、「はて、この先はどう行くんだっけ?」と途方にくれることがあります。道筋を辿っているつもりでも、実際には、先を行く人についていったり、助手席にぼんやりすわっていただけで、道順が深く頭に刻み込まれていなっかたからです。しかし、道案内されてすぐ、記憶が鮮明な頃に、自分ひとりで同じ道順を歩いてみたり、車を運転してみると、主体的行為のため、道筋が記憶に定着して、その後はいつでも、その場所に一人で到達できるようになるものです。

英文の読解にも同じことがあてはまります。他人の説明を受けて英文を理解した場合、その読解はまだ仮のもので、自分のものになっていません。そのまま放置してしまえば読めなくなってしまう可能性が高いのです。本当の理解にするためには、あまり時間を置かず、説明された通りの読解を行います。そうすれば、記憶がまだ鮮明ですから、容易に読解の道筋を辿ることができます。仮におぼろな個所がでてきたとしても、この段階なら、質問をしたり、解説を読み直すことによって、完全な読解を取り戻すことができます。この後、もう1、2回程度トレース読みを繰り返せば、その文は完全に自分のものになります。トレース読みも私のメソッドの基本手法であるサイクル法のバリエーションです。

以上の方法を使えば、1〜3のステップを踏んでも、頑なに自力で英文を読み解く、旧来の精読法より、時間の点でも、エネルギーの点でも負担が軽く、効果的であることを体感していただけると思います。

 

 

上達の過程での適用


英文の構造・意味を正確に把握するという意味では、入門期の最初のセンテンスですでに精読は始まっているといえます。しかし、まとまった量のやや難しめの英文を読み解くのは、本格的な中学英語がほぼ身についた頃が最適です。TOEICで400〜500点のレベルでしょう。

精読トレーニングはそれほど長くは続きません。一定の期間、一定の量の英文を正確に読み解いていけば、フィーリングで曖昧に意味を取る読みは排除され、英文を英語の構造、レトリックのままに取る習慣が身についてしまいます。私自身は大学受験期の数ヶ月だけでした。ある時期多読・速読(プレ多読)と並行して行い、速読体質への変化、ボキャビルによる語彙の拡大などに合わせ、自然に多読・速読一本へと移行していきます。そのタイミングは学習・トレーニングを続けていれば、おのずとわかるものです。

 

 

 
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