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私自身覚えがあることですが、初心者は英語力にもいろいろなレベルがあるということがわかっていないことが多いものです。つまり、英語はできるか、できないかー話せるか、話せないかのいずれかというように考えているのです。

私の場合、訓練を続けていれば遠からぬある日、ある瞬間に、カーテンが落ちるように英語が我が物となるのだと考えていました。その瞬間が訪れれば、英語が母国語と同じ実感のあるものになり、それ以降は日本語と同じ流暢さ、気軽さで操ることができ、唯一の差は語彙などの知識的な点だけだろうという具合でした。究極の「ブレークスルー神話」です。

しかし、外国語の力というのは、このような劇的なonce and for allといった形で得られるものではありません。実際には、薄紙を一枚ずつ剥いでいくような自分では知覚できないような微妙な変化を繰り返し、気がつくとかなりの進歩を遂げているというものなのです。

 


外国語として学習する英語の能力を大まかにレベル分類すると次のようになるでしょう。

英語の訓練をまったくしていない段階。学校で漫然と授業を受けてきただけ。一般的日本人のレベル。外国人に道で話しかけられたり、海外旅行をしても、知っている英単語を並べることと、身振り手振りでコミュニケーションをとるのが精一杯。このレベルで英語(というより英会話)に興味のある層の本棚には「楽々英会話何とか」とか、「あっという間に英語マスター云々」といった類の本、教材を持っていたりします。TOEIC300台どまり。

大学受験時代英語の偏差値が70を超えていたり英語がかなり得意でその上多少の実践的訓練に手をつけたレベル。センテンスによるコミュニケーションができ始める。でもスロー、表現がひどく限られています。読みは簡単なものをゆっくりと読めるだけ。TOEIC400〜500くらい。英検2級の賞状が壁に飾られていたりします。

コミュニケーションの用に足る英語力の入り口。スピードや表現はかなり限られているものの、実のあるコミュニケーションが取れ始める。単独で海外旅行に行ってもそれほど不自由はしない。英語のできない人には、「いいなー。英語がペラペラで」などと羨ましがられる。読みも簡単な内容なら速読ができ始める。TOEICは600突破。

英会話がかなりでき、英語のできる人で通る。読みも英字新聞などがかなりのスピードで読めるようになる。留学が可能。企業が従業員に求める英語力の上限。仕事で海外駐在を数年経験したビジネスマンにこのレベルの人が多い。ネイティブ・スピーカーにこまかな部分を助けてもらえば仕事でも生活でも支障が少ないので、自発的、積極的な努力をしないと十数年海外にいてもこのレベルにとどまることが多い。TOEIC700〜800台。

英語で仕事、生活の会話全て流暢にこなせる。英語圏で暮らしても障害ほとんど無し。英語を話すことで疲れない。ネイティブ・スピーカーがスピードを落とさずに対等に話しかけてくるようになる。新聞・雑誌・ペーパーバックを寝転がって楽しんで読める。しかし、複数のネイティブ同士の非常にカジュアルな会話の中に投げ込まれたり、早口でぞんざいな発音で話される映画やテレビドラマを見たりすると半分程度しかわからない。英文を書くと構文的にはほぼ正確だが、冠詞、前置詞の間違いやネイティブからみると不自然な文体が混じる。TOEICは900点〜満点。

発音や表現にかすかなエキゾティズムが漂うが、ネイティブ・スピーカーと全く同レベルで話すことができる。英語を話す時にまったく文法・構文を意識せず、しかも文法的間違いが一切起こさない。複数のネイティブ間のくだけた会話も、映画・TVドラマも完全に理解できる。また、自然な文体でミスのない英文をすらすらとかくことが可能。TOEICなどのテストで測定することはナンセンスなレベル。

すべてにおいて母国語と同じレベル。

 

レベル5〜7に関してもう少し解説しましょう。

まず、レベル7 外国語をあらゆる点で母国語と同等に使える、言語学上でいう狭義の意味のバイリンガル(英会話業者が軽軽しく口にする「バイリンガル」にあらず)で学習・訓練で達するレベルではありません。われわれ英語学習者にとっては、「天国」とか「ユートピア」などと同じく観念的にのみ存在するレベルです。

レベル6 これが英語を学習するときの究極の目標といえるでしょう。すでに高度の英語力を身につけているものの、さらに上達を願う人にとっては、このレベルに達することは悲願といってもいいかもしれません。極めて到達困難なレベルです。私は、一定の年齢に達してから、学習・訓練でこのレベルに達した日本人には直接合ったことがありません。超一流の通訳などプロの中にこのレベルの人がいるのかもしれません。オランダ語、北欧語など英語と極めて近い言語を母国語とするヨーロッパ人には、このレベルの人が少なくありません。

レベル5 学習・訓練により英語力を向上させてきた日本人はほとんどこのレベルに到達して伸び止まります。私自身もこのレベルに10年以上とどまっています。このレベルの人は英語圏に暮らし、仕事、日常的なコミュニケーションにほとんど支障もなく、TOEICは楽々と900を越え、試験時間もかなり余ります。レベル4以下の学習者からは指導を求められたり、英語の達人と呼ばれたりしますが、本人は自分の英語力の高さががあくまで他の日本人と比べての相対的なものであるということを自覚しています。このレベルにとどまっている人は2つのグループに大別できます。外国語としては満足の行くレベルまで英語が身につけられた、このレベルの英語を一生便利に使っていこう、と恬淡として快適にこのレベルにとどまる層と、学んで覚えた外国語特有の機械的感覚が完全に消え去り、英語を使うことが肌感覚にまでなってしまっているレベル6を思い焦れる層です。

当サイトでご案内するのはこのレベル5までです。案内人の私自身が到達し得たのは、ここまでですから致し方の無いところです。しかし、いずれその先の地点を目指すにしろこのレベルは通らなければならない地点ですし、実際のところほとんどの学習者にとって最終ゴールとしてもいい満足のいくレベルだと思います。

 


一定の年齢になってから、学習と訓練により英語を身につける場合、英語を自由に使用するための基盤となる力があり、私はこれを「基底能力」と呼んでいます。この基底能力は文法・構文や語彙の「知識」とその知識を円滑に活動させるための「回路」の2つの側面があります。

日本人は中学・高校だけでも6年も英語を勉強するから、英語の潜在能力はかなり高いという主張があります。しかし、一般に学校教育や受験勉強では知識の蓄積だけを行い英語の使用回路の開発は行いません。英語を得意科目にして難関といわれる大学に受かった大学生でも、簡単な中学程度の英作文が瞬間的に口をついて出てこなかったり、大量の英文を迅速に読みこなせないのはこのためです。知識がいくらあっても、そのままでは英語の駆使能力との間には非常に大きな距離があるのです。確かに潜在能力はあるにはあるのですが、潜在しすぎて一生日の目を見ることなく化石化していくのがほとんどです。

私がいう基底能力とは使用能力と直結したもので、点火するだけで爆発する火薬のようなものです。ちょっと物騒な例えになりましたから他の比喩を使うと、十分なトレーニングを積み、後は実戦で経験を積むのみというボクサー、あるいは何年も練習をして、コンテコンサートデビューを待つピアニストといったところでしょうか。

具体的には瞬間的に口頭で英作文ができる、英語を聴いて理解できる、日本語に訳さずに英語の順序のまま、英文が速読できるというような能力です。基底能力の高さは、速くて正確な読みとリスニング能力にもっともはっきりと現れます。ですから基底能力の高さはTOEICやTOEFLのスコアと比例します。つまりこれらのテストは基底能力を測定するものなのです。

ある人がどれだけの英語を使えるようになるかは、その人の基底能力に決定されます。AさんとBさんと言う人がいるとしましょう。Aさんはインプット中心の英語の基礎トレーニングを熱心に積み、高い基底能力を持っていてTOEICのスコアも800台後半。しかし英語を実際に使う機会がほとんどありません。Bさんは学習的なことは嫌いで、実践英会話専門。TOEICスコアは500前後ですが、限られた語彙・表現とかなり怪しげな文法で、しかしかなり有効な英語によるコミュニケーションが取れます。

今現在の2人の英語を比べると、駆使能力はBさんのほうが高いでしょう。初心者が2人の英語を聴き比べると、断然Bさんの方が、英語力があると思うでしょう。

しかし、この2人が1年全く同じ情況のもと英語圏で1年過ごすとどうなるでしょうか?一年後、Aさんの英語駆使能力はBさんのそれを大きく上回っているでしょう。この差は二人の持っている基底能力によってついたのです。大人に近い年齢に達した後、英語圏で数年暮らしただけでは、「砂が水を吸収するように」は高度な英語力はつきません。

言語をらくらくと吸収する幼少期を過ぎて、数年という比較的短いタイムスパンでの上達の程度はその人がもともともっている持ち駒、つまり基礎力に相当部分決定されます。

基礎力の全く無い状態で英語圏に行っても、1〜2年という短期ではブロークン英語に毛が生えた程度の英語しか身につかないのはよくあることです。

この点では学生時代英語を勉強していた人だと話が違ってきます。先ほどは、学校・受験英語で培う英語力が潜在しすぎていることを指摘しましたが、英語圏での生活という環境がこの潜在能力を引き出してくれます。学校英語で学んだ知識が日常的に英語を使わざるを得ない環境の中で、緩やかに使用能力へと変質し、数年のうちにはその人の持っていた基礎力に相応の英語を操れるようになります。ただ問題は、この変化が緩やかに起こるので滞在期間が1年程度だと、ようやく英語を使え始めた頃に帰国しなければならないことです。

知識をすぐ使える「回路」を既に備えている人なら、短期で英語の駆使能力が著しく上達していきます。英語を聴いて理解し、瞬時に英語のセンテンスを口から出すことが可能なので、初めから英語のコミュニケーションを取ることができるからです。あとは場数を踏むにつれ、実際に英語を話す際のスピードや間や空気に慣れて行き、どんどん英語を自然に使えるようになってきます。「本場で英語のシャワーを浴びれば、みるみるうちに英語が話せるようになる!」という宣伝文句は、実はこのような基底能力を備えた人だけに当てはまるのです。

 


外国語としての英語力のこのような構造を踏まえると、私は次のような手順で学習するのがもっとも効率的だと思います。


の知識の蓄積はいわゆる「英語の勉強」で、中学・高校の授業や塾で行われているはずです。「はずです」と言ったのは、私自身の指導経験では、学校教育を終えた社会人や現役の学生で、習ったはずのこの基礎知識が身についている人は少数だからです。発音記号も読めず完全なカタカナ、ローマ字発音。高校生なのに高校のリーダー・テキストが読めないどころか、実は中学の教科書が自力では読めない。英作文になるともう中学1年レベルで構文がぐちゃぐちゃの英文しか作れない、というのが平均的日本人のレベルというのが実情です。

学校・受験英語をしっかりとした勉強をして通じる発音、スピードには欠けるが正確な読み、基本的英作文ができるという人たちもいます。この人たちはせっかく英語を勉強してきたのに使い物にならないという落胆を最も強く、そして正当に味わっている層かもしれません。しかしがっかりすることはありません。やってきた努力は徒労だったわけではありません。英語学習の次の段階、つまり知識を使うための「回路」の敷設が欠けていただけだからです。学校英語、特に大学受験英語は問題点を指摘されることが多いのですが、結論からいえば、知識としてはかなりの高レベルにあります。したがって、そこまでの知識がある人は、の知識の獲得のステップを飛ばし、使用回路を作るだけでかなりの英語が使えるようになります。

は英語回路の設置。これは学校教育ではまったく空白になっている部分です。しかし使える英語を身につけるためには、決定的な役割を果たすステップです。この回路がないとせっかくの知識が宝の持ち腐れとなってしまいます。たとえば、次のような中学レベルの英作文の問題を例にあげましょう。

*数年間一生懸命勉強しているその少女はその試験に受かるでしょう。
*どちらの本も面白そうなので、彼はどっちを買ったらよいかわからない。
*彼はお母さんに、友人たちと映画に行かせてくれるように頼んだ。

どちらも中学英語の範囲内ですから、の知識の学習ができている人なら

*The girl who has been studying hard for a few years will pass the exam.
*As both books look interesting, he doesn't know which to buy.
*He asked his mother to let him go to the movies with his friends.

というような英文を作ること自体はなんでもないでしょう(もしできないなら必要最低限の知識を得るところから始めましょう)。問題はスピードとスムーズさです。英語回路の設置ができていないと、あれこれと考え、パズルを解くような作業になってしまいます。(え〜と。「数年間一生懸命勉強している女の子」が主部だから、主格の関係代名詞を使って、the girl who・・・と来て数年間、と継続性があるから現在完了を使ってhave been studying・・・いや三人称単数だからhas beenだ。)というように一つの文を作るのに一分近くかかってしまいます。回路さえできていれば、ほぼ瞬間的に英文が口をついてでてきます。

英語回路とは要するに英語を言語として瞬時に処理する能力です。これは反射的に英作文すること=英語を話すことに使われるのではなく、英語を聴いて理解したり(リスニング)、日本語に訳さずスピーディーに英文を読む(速読)上でも絶対に必要な能力です。

実用のための英語の効率的学習とはで知識の枠をどんどん広げつつのステップで速やかに回路化していくという鬼ごっこのような作業です。理想はもちろん大きな知識の枠があり、それが100パーセント回路化しているということですが、これはなかなか実現困難です。2つのモデルケースで説明してみましょう。

Aさんは学校時代英語が得意で、大学受験でも英語がポイントゲッターで偏差値も70も越えていました。しかし、英字新聞などをゆっくり読むことができますが、会話は苦手で簡単な英語をしゃべるのも四苦八苦という状態。

これは大きな知識の枠を持ちながら、その知識がほとんど回路化されていない典型例です。

Bさんは、英語の勉強は大嫌いで文法的に自信が持てるのは中学2年程度まで、難しい単語もあまり知りません。でも習うより慣れろ、の実践派で、どんどん外国人の友達を作りかなり有効なコミュニケーションを取ることができます。しかし、話題が堅かったり複雑な内容だととたんにわからなくなります。読むほうは知らない単語が多すぎてからっきしだめ。

これは知識の枠が小さすぎるものの、それが効率よく回路化されている例です。

2つの例は対照的な問題を抱えた極端な例ですが、現実にこういうケースが良く見られるものです。2例とも、自分の問題を解消するための方法や姿勢が欠如しているわけですが、やる気があり、体系的な方法を知りさえすれば、知識の枠を広げつつ、それを効率的に回路化していくこと、即ち基底能力を高めていくことはそれほど難しいことではありません。

のステップでは1.2で培った基底能力を活性化し駆使能力へと仕上げていきます。要するに英語を使う場に積極的に入っていく、あるいは自分で作るということです。これは努力すれば、日本にいてもいくらでも実現可能です。具体的に言えば、ネイティブ・スピーカーから会話レッスンを受ける、外国人の友達を作る、ESSのようなサークルに参加するなどです。

ただ、これらについては私自身の実践度は最低でした。まず、会話学校に行くことはコスト・パフォーマンスの点からはなから考えなかったし、出不精、人見知りで、日本人の友達でさえ少ないのに、外国人の友人を作るなどという芸当はできませんでした。また自意識も強く照れ症なので、ESSのように日本人同士で英語を話す会に入ることには抵抗がありました。まあ、反省すべきネガティブな姿勢だったわけです。実践の埋め合わせとして、私の場合は「トレーニング実践編」で詳述する短文暗唱=瞬間英作文とそのバリエーションを徹底的にやりこみました。31歳で海外に行くまで私の英会話経験は、ほぼゼロに等しかったのですが、このおかげで文字通り着いたその日から現地の生活にスムーズに入っていけ、当然のように英語を話していました。

この経験から、私のように性格的に問題があり、日本で英語を使う場を設けることが困難な人には、無理をしなくてもいい、基底能力さえ極限まで高めれば、英語を使うべき時がくれば使えるからとアドバイスします。もちろん、英語を使うことに積極的な人は大いに実践を踏んでください。1〜3のステップをむらなく踏めば、日本にいながら英語の駆使能力を十分に高めることが出来るのです。

それでは、次の「英語トレーニング法」で1〜3のステップの効果的な方法を詳しく説明します。

 
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